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書ければ良いので

劇団柿喰う客 新作本公演2023『肉食獣』

 連日連夜のハードスケジュールにより心身共に悲鳴をあげていたけれど、今!とにかく骨太の演劇に触れなくては心が折れて死にそうでチケットを取りました。1枚のチケットがまるで生きるよすがのようにぴかぴかと輝いておりました。

 この日も前後に予定があり、立ち並ぶ劇場群を息せき抜け、スズナリの急勾配の階段をそろりと昇り、ギシギシと板軋むロビーを渡って滑り込んだ12月16日14時の回。通路にも臨時席を設けられる満員御礼です。いつか私も自分でパイプ椅子を運んでみたい。

 幕開けから射出され浴びせられる言葉の弾丸、弾丸、弾丸。一分の予断も油断も許されず、目から言葉を飲み込み続ける60分間(福沢諭吉『肉食之説』を読んでから観劇して本当によかった)。

 終演後、「中屋敷さんが『友』を描くとこうなるのか」と思いました。そこに存在する友情はメロウな激情ドラマティック……ではなく、ざらりと乾き、然して互いを同門の士として根底では信じ合っていたと推察される歌詠み6人のお話。観劇後の満足感。精神がとても整いました。夏さんに恋をしました。

 友人は生肉バージョン(衣装及び音響なし)を観たそうです。いいなあ……。配信の特典も最高でした。あのような特典映像を初めて観ました。最高。

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 中屋敷さんの戯曲に通底している演劇の虚実皮膜が好きです。理解を掴ませてくれない。面白い演劇にただ殴られる。あの瞬間の自分が最も欲してる舞台でした。ありがとうございました。